
(C)薬学ゼミナール
第93回薬剤師国家試験総評
■ 全体総評
薬学教育6年制を意識した、科目の壁を越えた複合問題や医療系・薬事関係法規に見られるように、医療現場での実務に関する問題が多くなっている。特に薬物治療と薬剤師業務(2日目午後)は、新傾向の記述が多く、難しい問題であった。しかし、全体的には、過去問題ベースの問題が多く、基礎的事項を理解していれば得点できたと思われる。この傾向は第94回も同様であると思われる。 |

■ 科目総評
科目 |
難易度 |
総評 |
| 有機化学 | 低い |
科目の壁を越えた問題が昨年より多く、構造活性相関・薬理作用に関する記述やタンパク質や二糖類の構造など、薬理学・生化学の知識を必要とする問題が出題されている。しかし、過去問題ベースの問題も多く得点できたと思われる。 |
| 物理化学 | やや高め |
グラフの問題が2題、グラフを絡めたやや難易度の高い計算問題が1題出題されている。与えられたグラフを解析する基礎力が大切である。また沈殿平衡に関する新傾向の問題が出題されているが、全体的には過去問題ベースの問題が多く、これらを抑えていれば6~7割が得点できる。 |
| 分析化学 | やや低い |
過去問題ベースの問題が多かった。紫外可視吸光度測定法による定量は、やや難解であったが、よく出題されるNMR・MSのスペクトルの問題は、比較的解答しやすいと思われる。 |
| 生化学・分子生物学 免疫学・微生物学 |
やや高い |
生化学・分子生物学の問題は9題で、タンパク質のユビキチン化やプロテオーム解析法など、タンパク質に関わる問題が多く、しかも新傾向の出題であった。また遺伝子・遺伝情報の発現に関する問題は、やはり多く、アポトーシスなど正確な知識を必要とする問題であったが、選択肢から正解が導けた。微生物学はB型肝炎ウイルスの問題、免疫学はMHCを中心にした問題がそれぞれ1題出題された。いずれも医療を意識した問題であった。 |
| 生薬学 | やや低い |
薬理学を絡めた問題が多かった。例年のように生薬成分の構造に関する問題、漢方処方に関する問題が出題されている。 |
| 放射化学 | やや低い |
過去問題ベースの出題であった。新しくニュートリノに関する記述があったが、選択肢から正解が導けたと思われる。 |
| 機能形態学 | やや低い |
例年に比べ、11題と多い出題であった。ヒトの皮膚とリンパ系に関する問題は、難易度が高かった。しかし、過去問題ベース の基礎的な記述が多く得点できる問題であった。 |
| 衛生薬学 | やや高い |
出題基準に沿ってムラなく出題されている。改正された『感染症法』の結核、また話題になっている喫煙と健康、特定保健用食品、地球環境問題に関する国際的取り組みなどが出題されている。また初めて、記述疫学に関する問題が出題された。難易度の高い新傾向問題も出題されたが、基本的な問題もかなり多かった。 |
| 薬事関係法規 | やや低い |
今回も薬事法の出題が多かった。また、処方内容から保険制度に関する出題もあり、現場を意識した内容が出題されている。しかし、過去問題ベースの問題が多く、比較的得点しやすいと思われる。法改正に絡む問題は少なかった。 |
| 薬理学 | やや低い |
過去問題ベースの問題が多く、基本的内容を理解していれば得点しやすい問題であった。しかし、国家試験にはじめて出題された薬物や従来出題されていた薬物の作用機序について、詳細な内容を問う記述があった。また昨年同様、構造活性相関の問題が出題されていることから、科目の壁を越えた複合問題が多くなっている。 |
| 物理薬剤学 | やや高い |
グラフやデータを絡めた問題・計算問題が多かった。問われている内容はベーシックであるが、与えられたグラフやデータから読み取れる基礎的な事項を推測する能力が必要である。 |
| 薬物動態学 | やや高い |
やはり、グラフやデータを絡めた計算問題が、多く出題されていた(5問)。難易度は低いが、公式を覚えているだけでなく、公式をうまく使う応用力を必要とする問題であった。また昨年同様ポピュレーションファーマコキネティクスの問題が出題されている。 |
| 製剤学 | やや低い |
過去問題ベースの基本的な問題が多かった。15局改正の改正点は製剤均一性試験法などが出題されている。薬事関係法規を絡めた問題や新傾向の『新有効成分含有医薬品の承認申請に必要な安全性試験法』に関する問題が出題されている。 |
| 病態生理学 薬物治療学 |
高い |
症例問題が多くなっている。初めて成人T細胞白血病、多発性骨髄腫、ホジキン病などの疾患が出題されている。またアディポネクチンとインスリン抵抗性の関係など、全体的に深い内容を問う問題が多く出題されているため難しく感じたと思われる。 |
| 実務薬剤 | 高い |
難易度の高い医療現場の実務に関する問題が多く出題されていた。また薬事関係法規・薬物治療・薬理などの知識を必要とする問題が多かった。また抗癌剤の調製・投与に関する問題や癌患者の疼痛緩和に関する問題などが出題されていた。 |
| 総合問題 | 高い |
症例を中心とした総合問題は、癌化学療法に対する処方解析の問題であった。処方された抗癌剤の使用上の注意、これらの薬剤調製や投与などに関する、かなり難易度の高い問題であった。 |

■ 第93回国家試験合格率状況
合格者数 |
受験者数 |
合格率 |
92回合格率 |
|
| 総数 | 名 |
名 |
%
|
75.58% |
| 新卒 | 名 |
名 |
%
|
85.60% |
| 既卒 | 名 |
名 |
%
|
49.05% |














