第96回薬剤師国家試験総評

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96回薬剤師国家試験総評

2011年03月15日第96回薬剤師国家試験総評

■ 全体総評

全体的に第95回に比べ、難易度は同様あるいはやや低かったと思われる。過去問題やその類題が多く、しっかりと勉強をした受験者は合格できる問題であった。しかし、薬学教育6年制を意識した、実際の医療現場で用いられている医薬品やその使用法などが出題されている。16局の改正で、投与量が1日量での表示に変更されるが、1回量とともに括弧の中に1日量が記載されていた。また、医薬品名は商品名で出題され、薬剤師として欠かせない後発医薬品の使用促進やチーム医療についてなどに関しても出題されている。

■ 科目総評

解答速報  (解答速報 PDF版はこちら)

科目 難易度 総評
有機化学 やや低い 15題の出題である。無機化学や金属を絡めた医薬品の問題など今までとは少し傾向が異なるものもあったが、全体的に有機化学の基本的知識を問う問題が多かった。また問題のレベルや難易度は、昨年と同様であった。
物理化学 やや高い 8題の出題である。反応速度論の問題が2題、また薬剤の範囲でも1題出題されている。反応次数を決定していく初速度法の問題があり、例年0次、1次、2次反応を中心に出題されていたが、1/2次反応という近年にはみられない出題であった。与えられた数種類のデータより、必要なデータを抽出する能力が試されている印象を受けた。過去問題の再出題や類題は少ないが、過去に出題があった問題の周辺知識を問うような問題が多かった。
分析化学 やや高い 11題の出題である。過去問題の類似問題や基本事項を中心とした問題が多く出題されていたが、暗記だけでは解けず、全体的に内容を理解していないと解答できない問題が多い印象であった。昨年と同様の難易度であったが、理解力を必要とする問題が増えているように思われる。
生化学
分子生物学
やや低い 生化学は5題出題であったが、糖質やタンパク質の翻訳後修飾をはじめ、エネルギー代謝や脂質代謝などバランスよく出題されていた。また、細胞周期と細胞小器官について2題出題があり、細胞周期のG0期、分裂期に関する詳細が問われていた。
分子生物学は2題出題され、DNAの複製と翻訳に関する問題であり、翻訳の問題では、翻訳開始因子やサプレッサーtRNAに関する新傾向の記述が含まれていたが、選択肢から解答が導けたと思われる。
微生物学
免疫学
やや低い 微生物学は2題出題され、ウイルスと細菌の毒素に関する問題であった。ウイルスについては、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスの科名が初めて出題された。細菌の毒素については、新記述も含まれているが、内毒素と外毒素の基本事項を理解していれば確実に解答できる内容であった。
免疫学は1題出題され、サイトカインのIL-12やインターフェロン製剤についての記述があったが容易に解答できると思われる。
生薬学
放射化学
やや高い 生薬学は3題出題され、難易度のやや高い問題があった。漢方処方の問題は、今まで適応を中心に問われていたが、今回は配合生薬の特徴を問う問題であった。
放射化学は2題出題(基礎薬学、衛生化学)で、基礎的な問題もあったが、 核爆発によるフォールアウト(放射性降下物)や、電子対生成など 新たな記述も見られた。
基礎的な内容の過去問題がベースであり、比較的得点しやすい難易度の低い問題である。
機能形態学 やや低い 10題の出題であった。臓器別の問題を中心に出題され、基本的には過去問題がベースであったが、呼吸筋の働きと化学受容器については初めて出題された。また、95回に引き続きCa2+濃度について出題された。例年と比較して細胞内情報伝達に関する記述は少なかった。
衛生薬学 やや高い 40題の出題である。過去問題の再出題とそうでない問題との難易度の差が大きいと感じられた。出題数は「栄養と健康」が減少し、「疾病の予防」がほぼ例年通りの出題であったが、「化学物質の生体への影響」に関する問題が増加していた。また、法改正を含めた新傾向の出題や計算問題(2題)、化学物質の構造式の問題があり、難易度はやや高めであった。
薬事関係法規 やや高い 20題の出題である。例年に比べ、薬事法に関する出題は少なかったが、薬剤師の責任や医事関係法規に関する問題が例年より多かった。過去問題の再出題又は類題が3題出題され、易しい問題と難しい問題の差が激しい試験であった。処方せんに関する問題は、後発医薬品の使用促進に関するもので、内服薬における後発医薬品使用での規格及び簡易な剤形変更が可能な旨が出題されていたが、医療現場で知り得る知識を必要とするため、正答率がかなり低いと思われる。
薬理学 やや低い 例年通り30題の出題である。基本的な問題、過去問題及びその類題が多かった。また、新傾向の薬物も出題されてはいるが、消去法で選択肢を絞り、解答が導けたと思われる。また、構造式の問題が出題されたが、構造式がわらなくても作用や遮断薬の組合せで解ける問題であった。
物理薬剤学 やや低い 5題の出題であった。例年通り、医薬品の安定性に関する問題などが出題されている。また、問題の周辺知識を問うような問題の出題が多く、易しい問題が多かった。
薬物動態学 やや低い 15題の出題であった。過去問題の類似問題が多く、比較的解きやすかったように感じた。基礎的な知識を問う問題から、考えさせる問題まで出題されていた。また薬剤学(薬物動態学、物理薬剤学、製剤学)の基礎的な知識をミックスした問題が出題されている。
製剤学 やや低い 10題の出題であった。過去問題の再出題は1題だけだったが、過去に出題された記述を寄せ集めた問題が多いため、易しいと感じた。特に計算問題が再出題であったため正答率は高いと思われる。また、例年、難易度の高いDDSがまったく出題されなかったことも易しい要因である。局方の大幅改正目前だったため、ベーシックな内容の出題に留めたのではないかと考えられる。
病態生理学
薬物治療学
やや高い 例年通り30題の出題である。全体的に新しい記述が多く、難しく感じた学生が多かったのではないかと思われる。過去問題を暗記ではなく、その周辺の内容を理解していれば選択肢を絞り解答を導けたと思われる。症例問題が3題出題され、その全てが疾患を判断させる難易度が高い問題であった。また疾患ごとのバランスに偏りはなく、広範囲から満遍なく出題されている。
薬剤師業務 やや高い 例年通り、治験、安全管理、医薬品の適用、診断薬など多岐に渡る幅広い出題であった。さらに広く浅くではなく、広く深い内容の出題が多く、浅い知識では対応できないものが多かった。また輸液の調剤で行う計算問題など、計算問題は4題出題された。しかし、内容は過去問題の類似問題だったため、学生は解きやすかったと思われる。
総合問題 やや高い 3連問の総合問題が出題された。高血圧と心筋梗塞、慢性心不全、気管支ぜん息を併発している患者に対する処方の問題であり、プレミネント配合錠、アドエア500ディスカスなどの合剤が処方されていた。今までの総合問題と比較して臨床的な内容になっており、6年制国家試験を意識した問題であった。