薬ゼミブックレットシリーズ№6
2010年版 保険薬剤師のための薬担ハンドブック
難解な“薬担”の条文を日常会話表現で読み、理解する。
保険薬剤師にとって日常業務の原点である「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」。親近感のわかない難解な法律文を日常会話表現に改め、さらに条文の背景を盛り込んだ解説を加えました。これが手掛かりとなり、薬剤師本来の役割を考える機会になるでしょう。
2010年6月発行
編著=医療・法規制度研究会
監修=北里大学薬学部教授 鈴木順子
発行=株式会社薬ゼミ情報教育センター
A5判 70頁 2色刷
定価1,575円(本体1,500円)
ISBN978-4-904517-20-8
目次
※ W = WordⅠ 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則
療養の給付の担当の範囲(第1条)
W:「お薬手帳」 Q&A:「薬学的管理及び指導」とは何か。
療養の給付の担当方針(第2条)
W:「高額療養費の現物給付制度」 Q&A:患者からの苦情対応の基本とは。
適正な手続きの確保(第2条の2)
W:「公費負担医療制度」 Q&A:地方厚生局・地方厚生支局(以下、「地方厚生(支)局」)の役割とは。
健康保険事業の健全な運営の確保(第2条の3)
W:「健康保険事業」 Q&A:お歳暮・中元は是か非か。
掲示(第2条の4)
W:「誇大な広告・宣伝」
処方せんの確認(第3条)
W:「後発医薬品への変更不可」 Q&A:保険処方せんには、交付した医師の押印は必要か。
要介護被保険者等の確認(第3条の2)
W:「薬局薬剤師の役割の高まり」 Q&A:要介護認定を受ける前に居宅療養管理は実施できるか。
患者負担金の受領(第4条)
W:「保険外併用療養費」 Q&A:薬局の職員について、一部負担金を免除できるか。
領収証の交付(第4条の2)
W:「正当な理由に基づく有償での明細書交付」 Q&A:領収書を交付する必要がないとされる「正当な理由」とは。
調剤録の記載及び整備(第5条)
W:「保険調剤とそれ以外」 Q&A:保険調剤とそうでない調剤の調剤録の保管方法とは。
処方せん等の保存(第6条)
W:「調剤済み」 Q&A:処方医に電話で問い合わせ、訂正があった場合の取り扱いは?
通知(第7条)
W:「全国健康保険協会」 Q&A:偽造処方せんで処方した場合の費用の扱いは?
後発医薬品の調剤(第7条の2)
W:「後発医薬品」 Q&A:新医薬品と後発医薬品の違いはあるか。
調剤の一般的方針①(第8条)
W:「新・薬剤師行動計画」 Q&A:薬剤師綱領や薬剤師倫理規定を守らなかった場合の罰則はあるか。
調剤の一般的方針②(第8条)
Q&A:含量違いまたは類似の別剤形への変更調剤とは?
使用医薬品(第9条)
W:「薬価基準」 Q&A:注射薬の保険処方せんは調剤できるか。
健康保険事業の健全な運営の確保(第9条の2)
W:「医療費適正化対策」 Q&A:医療保険の集団的個別指導などへの心得とは。
調剤録の記載(第10条)
W:「健康保険法」 Q&A:調剤録の記載で適時の対応が必要な理由は?
適正な費用の請求の確保(第10条の2)
W:「審査支払機関」 Q&A:保険の個別指導とは。
読替規定(第11条)
Ⅱ 薬剤師法(抜粋)
薬剤師の任務(第1条)
W:「医療法」 Q&A:24時間開局で届け出た場合、夜間または休日の加算は可能か。
調剤の求めに応ずる義務(第21条)
W:「恒常的処方せん応需拒否薬局」 Q&A:調剤を断る理由で正当と判断できる場合には、どのようなことがあるか。
処方せんによる調剤(第23条)
W:「保険医」 Q&A:医師の名刺に必要事項を書いてきたものは、保険処方せんとして有効か。
処方せん中の疑義(第24条)
W:「保険医療機関・保険医療養担当規則」 Q&A:処方せんに、用法(食前・食後など)の指示がない場合、同一患者で従前の方法と同様に設定し、処方しても構わないか。
調剤された薬剤の表示(第25条)
W:「薬剤師法施行規則」 Q&A:薬剤師法施行規則に違反した場合、薬剤師法違反に問われるか。
情報の提供(第25条の2)
W:「医療連携」 Q&A:薬剤師が患者に触れるような行為は、いっさい許されないのか。
Ⅲ 保険医療機関及び保険医療養担当規則(抜粋)
特定の保険薬局への誘導の禁止(第2条の5)特定の保険薬局への誘導の禁止(第19条の3)
診療の具体的方針①(第20条)
診療の具体的方針②(第20条)
処方せんの交付(第23条)
監修のことば
「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」
薬剤師法第1条はいわゆる「任務条項」と呼ばれ、およそ医療専門職の中で、かかる任務条項を有するものは、医師、歯科医師そして薬剤師だけです。
では、薬剤師はこれまでの経過の中で、この任務条項にふさわしい医療人としての活動をしてきたのでしょうか。とりわけ薬局の場合、医薬分業の動きが比較的新しいこともあり、医療における薬局調剤の意義づけが今ひとつ確固たるものに欠けるという感が否めません。しかし、今や「医療崩壊」がささやかれ、医療構造が根本から動揺する中で、良くも悪くも薬剤師の存在が大きくクローズアップされています。医療における薬剤師本来の役割を果たすこと、それがいま社会から強く要請されているのではないでしょうか。
第五次医療法改正で、薬局は「医療提供施設」として位置づけられました。薬局には病院や診療所と並び立ち、地域医療チームを構成する積極的な役割が期待されているのです。また、同改正によって、改めて医療における調剤の意義が強調され、併せて医療の重心が地域に移ってきたいま、薬局・薬剤師が十分機能しなければ法に示される「地域医療」は成立しません。薬局・薬剤師にとっては、その医療責任の質的量的大転換がせまられているといっても過言ではありません。
しかし、熟慮すれば、それは薬剤師や薬局の本来的任務への回帰に他ならないのです。医療法における医療提供の理念、それに基づく医療施設・設備・人員の配備、業務責任のありかたを「医療普及」の面に引き写した「保険医療」で、「療養担当規則」が定められているのは、医師(診療機関)と薬剤師(薬局)のみです。療養担当規則では、すでに保険薬局は保険医療機関と並び立ち、同質の責任を有する医療提供機関として扱われているのです。療養担当規則には医師の判断・決断等の医行為を受け、薬剤師が独自独立の薬学的視座でそれをどのように評価・判断し、医療を適正なものにするために医師と連携すべきかが明瞭かつ具体的に示されています。療養担当規則には様々な言及がなされており、多くの作業が要求されていますが、その一つひとつには大切なコンセプトがあり、単なる作業で終わらせてはならない背景を持っています。
多忙な薬剤師諸先生にあえてお願いしたい。“薬担”(『保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則』)は「こうやっておけば間違いない」ではなく「こう言われているのだから、これ以上のレベルを目指すにはどうしたらいいのか」と読んでいただきたい。“薬担”を手がかりに薬剤師の本来の医療責任について考える機会とし、よりよい実践ができるよう期待してやみません。
北里大学薬学部教授
鈴木 順子






